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それは、半透明で白色に輝く綺麗な翼である。
翼の具合を確かめるように2、3度翼を動かす。
「うん…大丈夫。」
自分を励ますように呟き、真っ直ぐ前を見つめると、一呼吸置き思いっ切り床を蹴った。
翼を身体に密着させ、窓をくぐり抜けると同時に、夜の闇に向かって思いっきり翼を開く。
冷たい夜風が頬を叩き、開けっぱなしの窓からどんどん離れて行く。
一瞬寂しさがよぎったが、直ぐに大王の顔を思い出すと、頭を振った。
「あそこへは二度と帰らない!」
そして、周囲を見回した。
早く地上に降りなければ、翼は消えてしまう。
だが、城の敷地内に降りれば、忽ち見回りの者に見つかるだろう。
かと言って、街へ行けば人目につく。
暫く考えた末、リンダは城の裏に広がるセルーヤの森の前まで飛んで来た。
光の翼は今にも消えそうで、徐々に薄れ始めている。
「あとちょっと…。」
疲れた体にむち打ち、必死に地面を目指す。
だが、地面に足をつくまであと少しという瞬間、翼が小さな光の粒になり飛び散った。
「キャッ!!」
小さな悲鳴と共に、草むらに座り込むような形で落ちる。
ドサッ
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