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「ちょっと肌寒くなってきたなぁ……。
こんな事なら多少の準備はしてくれば良かった……。」
グー
お腹の虫もリンダに空腹を伝える。
1人顔を赤くしながら、お腹を押さえる。
「そういえば、夕御飯未だ食べてなかったんだ………。」
その上、リンダは1人で城の外に出るのはこれが初めてなのだ。
そんなリンダは、今は怪我を負い、体力も限界に近い中、一人何の備えもなくふらふらと、森の中をさ迷い歩いている。
途方に暮れ、下草を踏分け歩く内に、ドレスは夜露に濡れびしょびしょになり更に重く、枝に引っかかり所々破れたりほつれたりしていて、髪はびしょびしょに濡れている。
そんなボロボロの姿でも、きちんと品格を保っているところを見ると、やはりリンダはセルディアの姫なのだろう。
意識が朦朧とし始め、徐々に視界が狭くなっていく。
「もう無理……。」
諦めかけたその時、突然森の中に声が響いた。
「私の所へ来なさい。」
リンダは驚き周りを見回した。
しかし勿論まわりには誰もいない。
ほっとして、また歩き始めた時……。
「私の所へ来て!」
今度は、はっきりと聞こえた。
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