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「結婚!?」
予想外の言葉に思わずぱっと顔を上げると、大王の有無を言わせぬ瞳と、驚きと不安が入り混じったリンダの瞳が交差する。
「心配せずとも、相手は既に決まっておる。
相手は…」
「私は結婚するつもりはありません。」
リンダは大王の言葉を最後まで待たずに、強く言い放つ。
その瞳は大王を真っ直ぐに見、ぎゅっと握った両手に力が篭る。
その言葉に一瞬眉をひそめるが、あくまで優しく言い聞かせるように言う大王。
「何を言うておる。
あちらはそちの事をたいそう気に入っておられる。
しかも、向こうはリーヴァ国を治める王族で、由緒正しきカオジン家の者じゃ。
そちも知っておろう、リーヴァ国の第2王子、ラオン・ゼルシオ=バルア・ロ・リーヴァを……。」
その名前を聞いた瞬間、リンダを雷のような衝撃が撃った。
ラオンは、セルディア国の南西にあるリーヴァ国の王子で、リーヴァ国では1、2を争う美男子である。
その噂は隣国のこのセルディアまでも届く程だ。
だが、良くない噂もいくつか耳にしている。
最近では王族である権威を乱用し、とんでもない事をしていると風の噂で聞いた。
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