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「ラオンがどれだけ愚か者かは百も承知じゃ。
しかし、今我が国は度重なる天災のせいで食物が取れず、国民達が次々と死んでおるのは、そちも知っておるじゃろう。
そちがリーヴァ国へ行けば、我が国はリーヴァと同盟を結ぶ事が出来る。
そうすれば、市は食物であふれ再び活気を取り戻す。
国民達も飢えから逃れ、死ぬ事もなくなる。
リンダ、そなたはこの国の姫じゃ。
国民達の命は全てそなたにかかっておる。
だから、リンダ……。
そなたにラオンと結婚してほしいのじゃ。」
この国の状態は百も承知だ。
そして大王が自分の事よりも、国と国民を最優先するような人だという事も知っていた。
その上、この国では17歳から19歳頃に結婚するのが一般的である。
だが、未だ16歳のリンダに結婚とはあまりに酷である。
泣き続けるリンダを説き伏せるように、再び大王が言った。
「そなたの気持ちが分からんではないが、これは我が国のためなのじゃ。
我慢しておくれ。
式は3ヶ月後じゃ。
それまでに準備をしておくように。」
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