440人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、側に控えていた、茶色い髪をまとめあげ、ゆったりとしたドレスを身に纏った女性に目で合図すると、女性がリンダに近付き、そっとリンダの両肩に手を置き、優しくに呟いた。
「行きましょう、姫様……。」
大王つきのメイドの彼女を見もせず、ただうつ向き溢れ落ちる涙に身を任せていた。
女性は無言のリンダを悲しそうに見ると、そっとリンダの背中を押した。
「お部屋へ戻りましょう。」
リンダは、促されるまま無言でゆっくりと立ち上がり、女性に連れられ部屋を出た。
リンダが出ていった後、ずっとそこに居たのか、柱の影から男性が現れた。
短くかりこんだ黒髪と形良い髭に、黒い瞳そして褐色の肌の、どこかリンダと似たような雰囲気をもっている。
「大王様…これではリンダがあまりにも可哀想です……。
何か別の方法は無いのでしょうか………?」
最初のコメントを投稿しよう!