孤独の雨

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野晒しの僕の体。 雨が僕に入っていく。 体は錆び付き動く事は出来ない。 僕は接客をする為に作られた。 子供達が出鱈目に僕に触れて操作する。 たまに帽子を被せられもした。 お客さんからも叩かれる事もあった。 あの頃はイヤだった。 それでも雨風に晒されて、 内部に砂埃が溜まっていくだけの 今よりずっと幸せだった。 僕が何をしたの? どうして棄てられたの? 僕はこのまま、死んで逝くの? 猫が僕の足元に入って来た。 体を寒さで震わせる。 しばらくすると体を丸めた。 僕に当たる雨は止まない。 それでも、この間だけは 必要とされる。 もう雨、止まなくてもいいよ。
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