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+ 「目が覚めた?」 ぼんやりと浮かぶ輪郭が、徐々にはっきりとしてきた。 さっきの女性が、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。 ……私、布団に寝かされてる? 「……ここは?」 「あ、起き上がらなくていいから。 ここは私の家なの。私、a田a子」 「あ、高木美織です……」 家の中まで運んでくれたの? 「さっきのオッサンね、この家の斜向(はすむ)かいに住んでるの。 女の子が通りかかるのを毎日毎日庭から眺めてて。 声を掛ける事もあるから、若い子達には近付かないように注意してるんだけど。 腕掴むくらいじゃここらの警察は動いてくれないしね」 私は今までそんな危ない場所を何度も通ってたっていうの? 「これ、さっき落としてたわよ」
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