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彼女が亡くなってから十五年が経った。 金満はあの騒動の後に離婚したらしい。 職と家族とイチモツを失い、どこかでひっそりと暮らしていると、風の噂で聞いた。 あれから、あの宝飾店は僕の前に現れる事はなかった。 当時に比べれば、あの店の事も、昔の彼女の事も、思い出す頻度が薄れてきているのは確かだった。 一昨年の春に新しい出会いがあり、歳下の女性と付き合っている。 数合わせで連れていかれた合コンで連絡先を交換したのだが、明るく、何事にも一生懸命な彼女にいつの間か惹かれている自分がいた。
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