暗いの…怖い

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そこから始まった私達は、連絡先を交換し合い、何度か食事に行ったあと、彼から 「結婚を前提に付き合って下さい」 と告白された。 そして今に至り、 3ヶ月後には結婚式をあげる予定だ。 そして… この計画停電中、真っ暗闇の中で結局美味しく頂かれてしまった。 季節はめぐり春。 あれから無事に結婚式も終わった。 計画停電は上手く行ったらしく、国内の省電力化も進み、国民の電力消費への意識も変わりソーラーパネルや火力・水力発電への関心も高まっている。 今、私は出産間際である。 病院はとても混雑していて お腹の大きな妊婦さんがたくさんだ。 そう。 あの計画停電中、受精したカップルが多数いたらしく、空前の出産ラッシュに国中が湧いている。 あるテレビのコメンテーターは 「あの計画停電は、日本の出生率をあげるための政府の罠だったのだ」 と、豪語していたけど その罠に見事にハマった私は だんだん短くなる陣痛の間隔に 傍でオロオロしている夫を眺め あれは国中に幸せを振りまく計画停電だったんだよ。 心の中で呟いておいた。
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