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願い
「月の子はね、たくさんいたんだよ。20人か30人くらい!」
「そんなにたくさん友達がいたら、ケントも寂しくないよな。よし、お友だちの分もお菓子用意しなくちゃ!」
お父さんは泣きながらおばあちゃんちの縁側にお菓子やジュースを一杯並べた。
夜明け前、雨戸を開けて僕たちは静かに縁側から庭に出る。
「月の子のみんな。ケントと仲良くしてやってくれな」
お父さんはそう言って月に向かって手を合わせた。
返事をするように風がヒューリルと音をたてる。
縦笛を鳴らして笑いながら飛んでいく月の子たちが、うっすらと朝日の中に見えた気がした。
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