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「よく考えてみてくれ。樹里さんは部屋の電球を替えるために脚立を使おうとしたけれど、その脚立のネジが外れていたために足を踏み外し、体を床に打ち付けたんだ。それが原因で流産もしたし、肩も痛めた。相当な痛みがあったはずだ。それなのに、その痛みをこらえてまで脚立をたたんで部屋の隅に立てかけておいたのは何故だと思う。何に使ったのか知られたくなかったからだよ。あの人は、脚立を使って何かを隠そうとしていたんだ」
「何かって……」
「旭さんを殺した凶器だよ。部屋の電球を替えるなんていうのは嘘で、本当は脚立を使ってどこかに凶器を隠そうとしていたんじゃないか。……ずっとおかしいと思っていたんだ。樹里さんは部屋の電球を替えたかったと言っていたのに、昨日、彼女の部屋に入ったときは新しい電球がどこにもなかったから」
「あんたが樹里さんの部屋に入ったときって、樹里さんを病院に運ぶときだよね。緊急事態だったのに、よくそこまで見てるね……」
小春は感心しているというより、もはやあきれ顔だ。
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