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悟見は話を続ける。
「十二年前に母親を殺した樹里さんは、凶器を回収して自分の部屋のどこかに隠しておいた。そして、大人になって子ども部屋から今の部屋に移るときにその凶器も一緒に持っていき、脚立を使わないと手が届かない場所に隠しておいたんです。調べてみると、樹里さんの部屋のクローゼットは天井板が外せるようになっていました。中を覗いてみると、つい最近まで何かが置かれていたかのように、一カ所だけほこりの積もっていない部分があった」
「いつの間に樹里さんの部屋に……」真実が言う。
「きみが風呂に入っているあいだだよ。……昨日の『罪の告白大会』で、自分の過去の犯罪を旭さんが目撃していたことを知った樹里さんは、隠しておいた凶器を十二年ぶりに取り出した。そして、ことが終わったあとはまた脚立を使ってそれを隠そうとしたんだ」
昨晩、樹里は脚立のネジをわざと外したのはゆり絵だと悟見に言った。けれど、今日になって悟見が病室を訪ねたときは一転してそれを否定したのだ。
一晩経って気持ちが落ち着いたのかと思っていたが、そうではない。彼女は、もし警察に脚立を調べられたりしたら自分もまずいことになると思ったのだ。
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