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「元気出しなよ」
お化けの仲間たちは私を励ましてくれた。
落ち込む私を皆が心配してくれている。その優しさは有難かったけれど、私は俯いてばかりだった。
それと反対にろくろさんは生き生きとしていた。
「姐さん随分気合い入ってますね~」
伝令役の火の玉がろくろさんの周りをふよふよと飛ぶ。ろくろさんは上機嫌に白粉をはたきながら応える。
「最近格好いいお客さんがいてさぁ、お気に入りなの」
格好いい人と聞いてすぐあの男の子のことだと気づく。
身体が勝手に動いた。
「わ、私、昔からその男の子のこと知ってて……好きなんだけどっ」
私は思わずろくろさん達の会話に割り込んでしまった。
急に話に入っていた私を、ろくろさんは不快なものを見るような目で見てきた。
「は~? 好きになるのに出会った早さなんて関係なくない? それにあの子には私みたいなお姉さんがピッタリなのよ」
あんたみたいな子供、彼は興味ないわ。
放たれた言葉が刃のように鋭く私の心に突き刺さる。
たぶん、一番言われたくなかった言葉。
一番、自分でわかっていて、それでも考えないように、気づかないふりをしていた言葉。
自分以外の者から言われて、やっと客観的に理解できた。
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