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賞金の前借り
忠信は策略と聞いて、戦国時代の様相を想像して目の色が変わり、手のひら返しで乃武子を焚き付け、剣崎家のお家取り潰しを回避すべきと姿勢を正して提言する。
「乃武子よ。先ずは一位になり、賞金三百万円を手に入れようではないか?結婚するかどうかはレオトという男子が剣崎家に相応しいか見極めてから決めれば良いぞ」
「あの〜、婿を前提にしてない?」
「うむ、その場合最低でも三億円くらいは頂戴したい。若夫婦の為に家も新築した方が良いだろ」
『願望はともかく、忠信さまも賛同されたと考えて宜しいですね?』
正座した善三がスマートウォッチに向かって頭を下げ、乃武子は一安心したが幾つかクリアしなければいけない問題を抱えている。
『それでは乃武子さま、早急に出かける準備を始めましょう。九人の選手は同じ宿舎で戦いに挑む事になります』
「そこなのよね。おじいちゃん、長丁場になるから一人で生活できる?子供たちの練習も頼めるかな?」
「トレーナーは必要ないのか?」
忠信は乃武子に同行して一緒に戦うつもりだったが、参加規則には単独で参加する事と記されている。
『はい、全てダヴィンチにお任せください。責任を持って勝利へ導いてみせます。もちろん諸費用は全額スポンサーであるROMO社が負担しますのでご心配なく』
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