第二章・勝利の条件

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「一晩、付き合ってくれるなら、考えてもいいがな」  サングラスを外して、正座したミニの袴からのぞく太腿を見て微笑むと、乃武子の返答の前に忠信が口を挟む。 「それなら、わしが貴殿と枕を共にしようではないか」  武道着を肩をはだけて脱ぐと、黒いブラをぺちゃんこの胸に付けていて、柴田が引き気味に怒り、乃武子は呆れて唖然とした。 「ふざけんな、このジジイが」 「そっちこそ、わしのテクニックを知らんくせに、生意気なガキから試してみるか?」  稽古中だった近所の子供が四人、道場の隅っこで見てクスクス笑っている。忠信は袴も脱いで、黒いセクシーなパンツで堂々と柴田に迫った。 「そ、それ、お母さんの勝負下着じゃないか?」  乃武子は横目で睨んで「子供の教育上も良くないですよね〜。しかもアレ母の形見なんですよ」と朝倉に顔を近付けて囁きウインクして微笑み返す。 「お前ら、コントの打ち合わせでもしたのか?」  朝倉が揶揄われたと殺気立ち、近付けた顔を右フックで殴るが、乃武子は軽くバックステップして躱し、朝倉は立ち上がってナイフを抜き、乃武子は両手を剣に見立てた独特の構えで対峙した。  その時、見物していた子供たちが窓の向こうにドローンが飛んでくるのを見つけ、全員窓に近寄り背伸びをして騒ぎ出す。 「あれ、宅配じゃないの?」 「スゲー、初めて見た」
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