賞金十億円

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 ウィリアムはこの時、ここに至るまでの物語(ストーリー)をメモリーに書き込み、情報を収集して壇にナレーションで語って報告した。プレゼンターとして、宅配ロボットが見た映像は全て確認している。 『九人の候補者が選ばれ、関東近郊にはドローン、地方には自動運転車でスペシャルなスマートウォッチが届けられた』  空を飛ぶ『ROMO社』のドローンを見上げ、慌てて西川愛菜が玄関のドアを開け、箱を差し出されて驚く。  二階のテラスにドローンが着陸し、ソファに横になって本を読んでいた北条栗子がドアを開けて箱を受け取る。 『関東で三名、山梨、新潟、宮城、愛知、滋賀、福井、それぞれが戦国時代の武将の遺伝子を持つ華麗な女戦士である』  自動運転車が家の前に止まり、運搬ロボットが箱を運んで庭で伊達正美に渡す。同じく、玄関で受け取る藤原篤子、石田光恵、柴田和子、上杉静香、武田弓子。 『箱を開けるとスマートウォッチが起動し、本人を認識してメッセージを伝える』  九名の女性はスマートウォッチを左腕に付けると、それぞれ違う有名な画家の名前で挨拶され選ばれたと告げられた。  乃武子は『ダヴィンチと呼んでください』と言われ、プレゼントだと教えられたが、次の質問をして慌てふためく。 「それでダヴィンチ。さっき、私が選ばれたって言ってたけど。何のこと?」 『賞金十億円の戦いです』  道場にいた全員が賞金額を聴いて、朝倉と柴田は言葉を失い、忠信は子供とバンザイして騒ぐが、ダビンチの返答は冷静である。 『まだ、スタートラインにもノブコ様は立っていません。参加表明をなさるのであれば、参加規約書を読んで承認の手続きをし、不参加であればお手数ですが、箱に戻して送り返してください。その場合でも、我が社のスマートウォッチが後日プレゼントされます』  
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