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『規約書は読みましたね?』
「問題ない。試合の契約書と変わりなかった」
『ノブコ様。流石です。本能寺で織田信長が暗殺された時、精子を持ち出した蘭丸が剣崎家の祖先に受精させた。その血が受け継がれています』
「いや、おじいちゃに聞いたげど、それ本当なの?だって、蘭丸が信長のアソコから試験管とかに入れたってこと?」
火を放った部屋で仁王立ちになり、蘭丸の手で射精する織田信長を想像して、乃武子は首を横に振って顔を赤らめた。
「嘘だと思うけど、血が繋がってたら光栄だ」
『ウィリアムは戦国武将の血統を候補者に選び、ノブコ様の遺伝子は67.8%の確率で信長の子孫だと分析結果が出ています』
「嬉しい。ありがとうダヴィンチ」
「それでは実際の映像を観て、統括責任者ウィリアムのナレーションを聴き、この戦いの意味をご理解ください」
ウィリアムは『ROMO』の世界最高速コンピュータに鎮座するAIで、CEO壇洋文の指示でこの戦いをプロデュースし、剣崎家に伝わる血統まで調べ上げて乃武子を選出した。
「恐るべし、AIの能力」
乃武子はそう呟いてスマホに送られた映像を鑑賞した。スマートウォッチと連動させてあるので、ダヴィンチはスマホもコントロールしている。
『ダンが恩師でもある都城勇造に呼ばれてからこの物語は始まり、私は愛の守護者を選ぶコンテストをスタートさせたのです』
ウィリアムの声が聴こえて、病院の通路を歩く壇洋文の姿が映し出され、乃武子は一目見て興味を示し、好きなタイプだと身を乗り出した。
スマートウォッチのオクタゴンの盤面に心拍数98と表示され、ダヴィンチはハートマークを点滅させて微笑み、『恋の心拍数』とウィリアムも乃武子のトキメキを共有し、壇洋文の恋愛候補としても上々のオープニングだと喜ぶ。
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