第三章・乃武子の参戦

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 ROMO社のドローンが剣崎家の道場に着陸し、特別なアシスタント機能を有するスマートウォッチをプレゼントされ、ダヴィンチから選手権の説明を受けた剣崎乃武子は参加申込書にサインした。 「結婚ウォーズに出場する」  夕食の料理をちゃぶ台に並べ、ダヴィンチから聞いた事を晩酌を始めた忠信に説明したが、結婚と聞いて機嫌が悪くなった。 「勝敗で嫁になるなんて、わしは反対じゃぞ。しかも金目当てで結婚する気か?」 「おじいちゃん。さっきまで賞金が入るって喜んでたじゃない?」 「孫娘の結婚は別じゃわ。お前の婿(ムコ)は信長のような男をわしが選んでやる」 「婿(ムコ)って勝手に決めないでよ。それに結婚しなくても、勝ち残れば賞金は出るからね」 「そ、そうなのか?」 「十億円はトーナメントに優勝し、結婚への支度金として贈呈される。つまり結婚を拒否する権利は有るのよ。もちろん、レオトって人が結婚を断ったら、優勝者は無しって事になるわ」 「ってことは、かなり難解な戦いではないか?敵を倒したとしても、勝者とは言えぬ」 「さっすがおじいちゃん。勝負事になると理解が早いわね」  乃武子が徳利を持って日本酒をお猪口に注ぎ、忠信はグイッと呑んで話の先を急かした。剣崎家は多額の借金を抱え、このままでは道場も家も失ってしまう。
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