第三章・乃武子の参戦

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「三位までは賞金があるのよね?」  乃武子はお腹が空いたので、後はダヴィンチに任せてご飯を食べ始め、忠信は(マグロ)とイカの刺身に舌鼓を打って、乃武子の左手首で話し始めたスマートウォッチを横目で睨む。 『はい。一位三百万円。二位百万円。三位五十万円。この賞金は結婚に関わらず贈呈されます』 「なんだと〜。十億円からはかなりしょぼくなるではないか?」 『忠信さま。この選手権のタイトルが[結婚ウォーズ]だと云う事をお忘れですか?高額な賞金はレオトと恋をして結婚を勝ち取る事が重要なのです。私は殆どの候補者が十億円を目指すと推測しています』 [確率=88.8%]  画面の数字に乃武子が箸を止め、「私以外は全員が結婚を目指す?」と呟く。 「人を金で操るとは機械のくせに姑息な手法を使うのだな?」 「おじいちゃん。人工知能だよ。将棋の名人だってAIに教わる時代だから」 「ふん、それでそのレオトとはどんな男だ。試合で結婚相手を探すとはうつけ者か知恵者か?」 「今どき、うつけって言う?」  ダヴィンチは画面に[うつけとは奇矯な振る舞いをする者。]と注釈をし、「しかし所詮はこんな方法を考える男にノブコを嫁にやれん」と忠信に反論されたので、都城家の名誉を守る為にも明確に答えた。 『誤解です。レオトさまに結婚願望は無く、この戦いについては何も知りません。これは都城家の当主が死後を見据えた策略なのです』
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