結婚ウォーズ

九人の女戦士

『ダンはビジネスマンですから、実力を示すのが早道かと思いますが？』

「ダヴィンチより、私の方が人間の事は知ってるの。特に男って見た目に左右され、金銭的な格差があれば安心する。男女問わず、感情で動くってのが人間なんだよ」

『なるほど、勉強になります』

「ところで、高額なバイトってなんなの？後で教えるって言ってたけど」

『少々、お待ちください。公平を記する為に全員の書類を仕事先に提出する事になりました。審査も厳しいので、九人全員が採用されるかは微妙です』

　ダヴィンチは都城怜雄人(レオト)とのファーストコンタクトとして、乃武子を他の選手より先に自然な形で逢せたいと考えたが、ウィリアムにバレて抜け駆けは失敗した。

「もう、戦いが始まっているという事だね。早くダンって人に会って、借金の悩みを解消しないとスタート台にも立てないぞ」

『わかりました。このまま、吉祥寺へ向かいましょう』

　電車内なので乃武子はワイヤレスイヤホンをして小声で喋り、ダヴィンチは壇洋文にメッセージを送り、面談を早めるアポイントを申請した。

［剣崎乃武子の相談の件、これから吉祥寺へ向かいますのでお会いできませんか？］