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2章 薬物に溺れる20代
19歳になった私は,バイクよりも車で遊ぶ方が多くなってきました。
女の子はナンパできるし遠方まで気軽に行ける車は,私の遊び方を一気に変えました。
毎日のように車を乗り回していたそんなある日,知り合いのレディース(女の子の暴走族)の女の子3人組が
「ガソリン満タンにするけん三原まで乗せていってくれん?」
と,言ってきました。
広島市内から三原市までは50キロ以上もありましたが,運転が楽しくて仕方ないこの頃の私は,ガソリン満タンという誘いも魅力的に感じ,二つ返事で
「いいよ」と了承しました。
「三原のどこに行けばええん?」
「近くなったら又言うけん」
そう言われると私は男の友達1人を助手席に乗せ,後ろの3人組のレディースと
計5人で三原市まで車を走らせました。
しばらくすると女の1人が
「あそこの公衆電話で一旦止めて」
と言い,私は公衆電話で一旦車を止めました。
当時は携帯電話もありましたが,まだまだ今のように誰でも持っているような時代ではなく,当たり前に公衆電話を使う人が沢山いました。
すぐに,公衆電話から戻った女の子の1人は
「車を出して」
といい,私はそのまま車を発進しました。
「次を右」 「そこを少し行って左」
言われるがまま車を進めていくと,車はどんどん山奥へと向かいます。
私は不審に思い
「どこに行くん?」
と言うと,レディースの3人は
後部座席でひそひそと何やら相談事のような会話を始めました。
「どうする?」「言おうか?」
などと言う声が私と助手席の友人にも聞こえて来ます。
すると,3人のうちの1人が
「シャブを買う」
と言ってきました。何も知らなかった私と友人は「はぁ?」と同時に声が出ましたが,その女の子は
「ええじゃろ?誰にも言わんでね」
「あんたらもしんさい。体が軽くなって楽しいよ」
などと言って私達に薬物を使用するよう勧めてきました。
「どうする…?」助手席の友人が言いました。しかし私はこの時,覚せい剤という薬物がとっても恐ろしいものだと思っていたので,
「せんよ」
っときっぱり断ったのです。
そして一つ年下のレディース3人組が
急に,遠くの存在のように思って怖くなったのを良く覚えています。
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