2章 薬物に溺れる20代

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初めはあんなに怖かった薬物取引も,いつの間にか何の抵抗もなくなり, ついには私自身も,この恐ろしい“薬物”に手を染めてしまいます… 「あんた,男のくせにこんなのも出来んのん?」 「こんなん一回くらいならいつでもやめれるよ」 私はついに,この悪魔の誘いに乗り 『まっ,一回くらいなら試しにやっても大丈夫か』 と思ってしまい, 「自分で出来んけやってや」 と服の袖を捲り,人生で初めての “覚せい剤”に手を染めてしまいます。 あんなに怖かった覚せい剤も,周りに使用者がいる事で,免疫がついてしまったのです。 『なんだこれは…』 打ち終わった瞬間に,ふわっと体の感覚がとても軽くなりました。 朝方という事で眠かったはずの眼はギンギンに覚め, 帰りの車では,高揚し,ずっと喋っていたと思います。 初めて手を出した覚せい剤は,その後の私の人生を大きく変えることになります。 一度だけならと思っていた私の薬物使用は 『もう一回だけ』と繰り返すうちに いつの間にか私の生活の一部になっていました。 最初こそ,レディース3人組とでしか買えなかった薬も,いつのまにか自分だけで買いに行く様になり,更には“売人”の知り合いもどんどん増えていきました。 薬物をしている時の私は,とにかくなんでも薬物中心の生活へと変わり,日を追うごとに顔色は悪くなり痩せ細っていきました。 母はそんな私の異変に気づき 「大丈夫?」「なんか悪い事したんじゃないの?」 と心配しましたが,私は 自分勝手な思考で母を責め,薬欲しさに 多くの犯罪に手を染めてしまいます。 いつの間にか周りの友達は私を避けるようになり,気がついたら私の周りには,薬物使用者しか居なくなっていました。 愚連隊のように,人を脅し,騙して 金をかき集めては,薬を買いながら薬物を使用していた私は,ついには事務所荒らしの現行犯で捕まってしまいます。 初めて覚せい剤を使用した時から,約二年が経ち,21歳の時でした。 成人して初めての私の逮捕の罪名は 窃盗や恐喝,更には覚せい剤の使用と所持などとありとあらゆる罪名がありました。
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