結婚相談所「マリエス」

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「所長、一体どんな技を使ったんですか?」 「実はね——」  姫崎は夢見手に、高野に提示した特別プランのことを話して聞かせた。 「高野様はいつも疑いからのスタートだったでしょう? 信じることをスタートにできればきっと彼はうまくいく——そう思ったの。本当か嘘か分からない当てにならないプロフィールじゃ、高野様も疑いようがない。そうなれば、実際に会ってみて自分の目で確かめた坂本様だけが本物で、それを信じるしかないじゃない?」 「さすが所長! そこまでお見通しだったんですね」  一呼吸置いてから夢見手は「あれ?」という顔をした。 「でも、プロフィールにわざと嘘を書いてもらうなんて、うちにそんなサービスありましたっけ——?」 「ないわね」 「えええっ!?」  ぽかんと口を開ける夢見手。 「私がやったことは夢見手さんのやっていたマッチングと何も違わない。坂本様のプロフィールに書いてあったのは全部本当のことよ。嘘の項目なんて一つもないわ」 「つまり——嘘をついたのは、所長だったってわけですか」 「ふふふふふ」
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