結婚相談所「マリエス」

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「そんなことで……」  夢見手が口を滑らした。 「そんなことじゃないんです! 料理ができないとか、掃除ができないとか、そこじゃないんです。さも誠実です、本当ですという顔をして、内実嘘ばっかり。みんな上っ面を取り繕ってばっかりの人間だ。そんな彼女たちとは信頼関係を築けないと思った、私が言いたいのはそこなんですよ!」 「加藤さんのプロフィール、嘘ではないんじゃないですか? お菓子も料理ですし。酒井さんだって、体調が悪かったからその数日間部屋が片付けられなかっただけかもしれないですよね? 高野様のように、何でもかんでも最初から疑ってかかっていたらこれから誰と付き合っても、上手くいくものもいかないと思いますよ!」  高野の怒りにつられて冷静さを失った夢見手は、感情的に言い返した。 「もういいです。あなたにはいくら話しても分かってもらえないでしょう。では——」  高野が帰ろうとした時、事務室から所長の姫崎が現れた。 「高野様、高野様専用の特別プランをひとつご用意しているのですが——」
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