結婚相談所「マリエス」

「高野(たかの)様、この度は『結婚相談所マリエス』をお選びいただきありがとうございます。わたくし、マリエスの所長、姫崎(ひめさき)と申します。高野様にはこちらの結婚カウンセラー、夢見手(ゆめみて)が全力でサポートさせていただきます」
「高野様、夢見手と申します。これから共に素敵なお相手を探していきましょうね！」
　高野を頭から足の先までひと眺めした夢見手は、いつもより弾んだ口調で挨拶をした。
「では夢見手さん、よろしくね」
　そう言って所長の姫崎は、面談室に二人を残して事務室へと戻っていった。

「さ、どうぞおかけください」
「早速ですが、高野様の基本情報と希望条件をこちらのアンケート項目に従って記入していってください。あ、これはお相手の女性に見せる正式なプロフィールではなく、あくまで私たちが参考にするものなので正直に思っていることを書いてくださいね」
「それともう一つ、マッチングの際の参考資料として性格適性診断も行っていますので、こちらもあわせてお願します」
　高野は夢見手に言葉を返すことなく黙って紙にペンを走らせた。