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「……蒸し返すようで恐縮ですが、私、どうも納得いかないんです」
一杯目の酒が半分も無くならないうちに、高井は中川に打ち明けた。
「もしかして、正樹のストーカーのことですか」
「そうです」
二人の間を、質の悪い沈黙が流れた。
「中川さん、なにか知ってること……」
高井が発言するのを、中川は手で制した。
「……すみません、俺、明石さんに嘘つきました。皆さんにも隠してたけど、飲み会で正樹が皆さんに言う数日前に、俺、あいつにストーカー被害を相談されたんです。それで、その日……俺、正樹に告白されたんです。」
「……え?」
高井は予想外の中川の発言に、面食らった。
「最初は電話で言われて。ストーカーされてるかもしれないって……。話を聞いてほしいと家に呼ばれたんで、すぐ向かったんです。そうしたら、あいつ……。」
「そんな、まさか……」
知らない方が、よかったのかもしれない。高井は、変に嗅ぎまわってしまっ
たことを後悔した。
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