ストーカー・イン・ザ・シック

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   次の日も、明石は姿を見せないし、佐川は俯いているし、彼女たちの嫌な噂が流れ続けていた。 「良吾、仕事終わった? もう帰ろう」  加藤はいつも通り、午後七時頃中川に呼びかけた。高井はそれを待っていたように、「すみません」と割り込んだ。 「加藤さん、私も同行してもよろしいですか?」  少し嫌がるような素振りを見せたが、中川が「まあまあ、いいじゃん」と言うと、また加藤は何も言わなかった。 「聞きたいことがあるんです。行きましょう」  三人は誰に急かされるわけでもなく、そそくさとオフィスを出た。 「単刀直入に言わせていただきます。……写真の女性は、どちらも加藤さんだったんですね」  誰かが固唾をのむ音がした。 「中川さんにお話しを聞きました」 「……」  高井が昨日、中川から聞いた話の全貌は、こうだ。 『飲み会で正樹が皆さんに言う数日前に、俺、あいつにストーカー被害を相談されたんです。それで、その日……俺、正樹に告白されたんです。』 『その時、あいつ……。』 『女装してた。良吾、助けて。良吾のこと、好きなのって。』 『心は女の子なんだよ。信じて。』 『そうやって言ってきた。』 『あの日のあいつはおかしかった。俺は恐ろしくて、すぐ逃げ出してしまったんです。』 『次の日はいつも通りのあいつだったから、余計に怖かった……。』
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