ストーカー・イン・ザ・シック

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「自作自演、ってことです……。」  中川に掴まれ首が締まり、苦しそうにしながらも、加藤は興奮し始めていた。  だらんと垂れた腕。  震える足。  口元から涎が零れ、にやにやと歪んだ瞳から、涙が落ちる。 「明石さんが見た女性も、私たちが見た女性も、同一人物。彼女は……、女装をした加藤さんだった。……ストーカーなんて最初から、いなかったんです。そうですよね、加藤さん」 「な、なんだよそれ……。おい! 正樹、ちゃんと説明しろよ!」  中川は、激しく加藤を揺さぶる。  その行動は、余計に加藤を興奮させるばかりだった。 「最初の写真を明石さんに見せられた時点で、あなたは相当焦ったんでしょうね。明石さんそっくりの服装に変えて、明石さんを犯人に仕立て上げようとした。……犯人捜しなんて、するものではないですね。私と綾ちゃんがあなたを尾行したせいで、あなたの思惑にまんまと引っかかってしまった……。」  再び、いやな沈黙が流れてゆく。  中川の手から、ずるりと加藤が落ちる。中川は呆然と、加藤のことを見つめる。  ある日突然、女装をして現れた親友。  その姿で告白をしてきた親友。  彼の、その罪の全て。
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