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その彼女が可愛い顔で申し訳なさそうに聞いて来た。
「すみません、どちらまで?」
「あっ、次の停車駅で」
そうだ、次の停車駅で降りなければならない、この彼女とそこでさよならなんて…。どうにかしなければ!そんな事を思っていると。さっきより少し肌が桜色に染まった彼女がうつ向きながら恥ずかしそうに話しかけて来た。
「こんな事して、言いにくいんですけど」
「なんでしょう」
その先を聞きたくて急いてる気持ちをわかられない様に緊張してか声が裏返ってしまった。
「これでお別れは何と言うか…」
「はい?」
「昔の大ヒットドラマじゃないんですけど…『やっと運命の人に出会えた』って言うか…そう思ったらコーヒー落としちゃって」
「実は、俺もです」
俺は空かさず真新しい名刺を取り出し、裏にプライベートの電話番号を書いて渡した。
メッセージアプリをお互い登録している間に駅に着いた。
別れ際に彼女の顔を見た。やっぱ可愛い。
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