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二人の過去や今の事情をわかり合い、時を重ねて来た。
「ねえ、歩きスマホ止めて」
二人で買い物をして歩いていると、いつもになく優子は少しきつい言い方で俺に言った。
「あっ、うん。どうしたの?」
その言い方に少し驚き聞いてみた。
「危ないよ、前見てないでしょ?私、何度も怖い目に会ってるから。言い方きつかったらごめん」
「うん、別にいいけど…。前方は気にしてたよ」
少しむっとして言い返してしまった。
家に帰り優子はスマホを見ている。嫌な空気を変えようと俺は明るく振る舞い優子に言った。
「 優子、今日は俺が食事作るよ」
「ありがとう」
俺がキッチンに立ちパスタを茹でていると。
「雅也~何かスマホ調子悪いんだけど、お母さんの事でググりたいからPC貸して」
どんな時でも優子の声は癒される。機嫌は治った様だ。
「いいよ、さっき仕事で立ち上げたままだから、そのまま使えるよ」
優子は俺のPCで検索をしている。
「優子、見つかった?」
俺は尋ねながら優子に近付き背中に手を回し画面を覗きこんだ。
「うん、お母さんの担当医の日程変更を確認したかったの。もうわかったから大丈夫」
優子はPCの画面を閉じて振り返り微笑んだ。
ただ、画面が一瞬暗くなった時にそこに映った優子の顔が今までに見た事のない別人に見えた。俺は驚いた顔をしているのか、優子が微笑みながら聞いてきた。
「どうかした?」
相変わらず何時もの微笑みで首を傾げながら俺を見てる。
「う、ううん、どうもしない。あっ俺さ、今凄いプロジェクトに参入するチーム任されていて、別の会社もこのプロジェクトに参入したくて競ってるんだ。これなんだけど…」
企画書の表紙の画面を映し出し優子に見せた。
「へぇ、凄い!」
「でね、優子。このプロジェクトが成功したら結婚しよう」
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