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「いいこと教えてあげます。押し入れにね、カメラと盗聴器隠してるんですよ」
彼女の耳元でゆっくりと囁いてから僕は押し入れを開ける。PCと盗聴器とカメラが姿を現した。
「これ、僕の家のパソコンにつながってて録画されてるんですよ。面白いでしょ」
ほら、と僕はさっきまでの睦言と、石田課長の乱入シーンを再生した。顔や姿は見えないが声ははっきりと聞こえる。
「石田課長と、あやめ先輩と僕。クビになるのは誰でしょうね? 石田課長の奥さんって確か社長の妹さんでしたよね。社長の実家に送っちゃいます? さっきの画像」
僕がそこまで言うと襖が再度開き
「やめてくれ!」と課長が飛び込んできた。「それだけは……やめてください……」
土下座して震えている石田課長と、その姿を見て唖然とするあやめ先輩は膝から崩れ落ちそうになっている。
――たいして面白くもなさそうだけど、飽きるまでは時々遊んでやるかな。
そんな事を考えながら僕は、あいまいな微笑みを浮かべて二人を見下ろしていた。
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