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あやめ先輩は、35歳くらいで僕より3つほど年上である。会社では中堅どころとして頼りにされていて、独身女子の中では際立って魅力的な人だった。あごで揃えた黒髪のボブがふんわりと輪郭を包んでおり、吸い込まれそうな目元がチャームポイントだ。彼女は年上キラーとして有名なので、同期もちょっと年上程度の先輩たちも眼中にはなさそうだったが、魅力的な人なのであわよくば……と思っている男は多い。
僕はといえば、ちょっと怖い先輩でもあるし仕事でも厳しいので、そういう目で見るのは恐れ多いというのが本音だった。とはいいつつ、彼女の魅力的なヒップラインとか突き出たバストとかは、否が応でも目に入る。
メガネを常用しており普段からのんびりとしている僕は『草食系男子』と思われることが多かったが、自分ではむっつりスケベだと自覚していた。見るところはちゃんと見ているのだ。
浴衣一枚のあやめ先輩の胸元は緩やかなカーブを描いている。いつもと違うのはもしかしたらノーブラなのだろうか。視線の行方を気付かれないように観察すると、うっすらと乳輪の辺りが透けている。どうやら本気でノーブラらしい。僕は軽く目をこすりながら、冷凍庫にキープしていた氷をグラスに入れ、チューハイを分け合った。
「それにしてもこんな夜中に、どうしたんすか?」
二人きりの空間と沈黙に気まずくなって尋ねると、彼女はうふふと笑う。
「別に理由は無いんだけど、眠れないし誰か起きてないかなって思って」
部屋の前を通ったら薄っすらと明かりがついていたので、この部屋をノックしたらしい。
「一人で起きてると寂しいじゃん」
彼女も一人部屋だ。可愛いとこあるじゃんかと思いながら僕は笑う。
「怖かったんですか?」
「そんなんじゃないよ」
唇を尖らせながら言う顔が何とも可愛らしい。
「ま、僕よりあやめ先輩の方が強そうっすけどね」
「何よ」
失礼ね、と冗談交じりに怒ったふりをしながら彼女はふと寂しそうな表情を見せた。
「ね、山門君も私のこと怖い女だって思う?」
「え?」
吸い込まれそうな潤んだ瞳で見つめられ、僕はごくりと固唾を呑む。浴衣の胸元からこぼれんばかりの両乳が誘惑するように揺れていた。彼女もいない、もちろん奥さんもいない独身男には実に刺激が強すぎる。
「いつもは怖いけど、今日はエロいです」
正直に言うと、彼女はほんのりと赤くなった後で僕を満足そうに見た。
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