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俊介さんの曲紹介の後、優しくて心地いいピアノのイントロに、遥さんのファルセットが重なる。里香が、僕の腕をぎゅっと抱きしめていた。
静まり返った会場に、ピアノの音色と遥さんの歌声だけが響く。里香の涙がぽたぽた僕の腕に落ちていた。僕は、そっと彼女の肩を優しく抱き寄せた。
『愛の風に乗せて とどけよう この歌を』
心を震わせる歌声と、会場を包み込むようなピアノの演奏に、心の中からあたたかい熱がこみあげてくる。
気がつくと、里香に続けて僕も涙が止まらなくなっていた。
『ふたりがずっとずっと 笑顔ですごせますように』
最後のサビを歌い曲が終わると、会場は鳴り止まない拍手の嵐だった。
里香が僕の顔に彼女の顔を思いっきりくっつけてきた。こっそり、誰にも見えないように、僕は彼女の頬にキスをした。
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