マヨナカクラブ

9/10
前へ
/10ページ
次へ
「うん!皆めでたいよね!そこで、私が俊ちゃんに無理言って、二人に向けて曲を作ってもらいました」  遥さんの言葉に会場がざわめいた。僕達のために、暗闇倶楽部の二人が……曲? 「どうしても二人を祝福したい!音楽で!って遥がいうからさ。それに……横アリ公演、点心娘と観に行きますって以前番組に加湿器からメールがきてたから、きっとこの4万人のどこかに加湿器と点心娘がいるんだろ?」 「加湿器くーん!点心娘さーん!本当におめでとう!」  遠いステージの上でぴょんぴょんと遥さんが飛び跳ねていた。モニター越しに、赤い髪の毛やスカートがふわふわと動いている姿は無邪気な子供みたいだ。 「えへへ。俊ちゃん、私のわがままきいてくれてありがとう」 「いいよ。今回は僕もお祝いしたいなって思ったからかな。曲も珍しくすらすら出てきたんだよね」 「1ヶ月もかからずに曲作った俊ちゃん偉い!そしてレコーディングをマッハで終わらせた私、超偉い!」  自慢気な遥さんのMCに僕は思わず笑ってしまった。この人は本当にマイペースで情に熱く、どこか面白い。  会場も拍手に混ざってあちこちから笑い声が聴こえた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加