マヨナカクラブ

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「木曜日!23時を回りました!ここからは暗闇倶楽部のマヨナカクラブの時間です!神奈川のみんなー!そしてスマホで聴いてくれてる日本全国のみんなー!マヨクラ始まったよー!暗闇倶楽部のボーカル、遥です!!」 「こんばんわ。キーボードの俊介です」  好意を抱く内海さんと話がしたくて、彼女に最近ハマってるものをたずねてみると「マヨナカクラブ」というラジオ番組を教えてもらった。番組が始まって一番最初に聴こえたのは、暗闇倶楽部やマヨナカクラブなんて言葉とは真逆の、テンションが高くすこぶる明るい女性の声。続いて続いてひだまりのようなあたたかくて優しい男性の声が聴こえた。 「俊ちゃん!桜の花がきれいだけどお花見しながら食べるものといえば?」 「僕?僕はやっぱりお団子かなぁ。イチオシは浅草にある、みたらし堂の黒みたらし。最高」 「俊ちゃんはやっぱりお団子かぁ。甘党リスナーさん、みたらし堂要チェックですよ〜!」 「遥は?」 「もっっちろんジンギスカンですよジンギスカン。北海道民は花より団子ならぬ、花よりジンギスカン!」  さらりとお店を商品名だけ紹介した男性と違い、女性は鼻息が聞こえてきそうなぐらいの声だ。そして、そのままジンギスカンにまつわる熱い語りを始めた。みたらし団子といい、ジンギスカンといい、こんな夜中に美味しそうな食べ物の話をするなんて、完全な飯テロだ。
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