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「あ、猫が……」
寅色の仔猫が道路で跳ねられて、宙に向けた脚を痙攣させている所を車中から見た。
他社の人と仕事中だから余計に降りられない。
仕事中では無くても何も最早助ける術は無かったかもしれない。
叶わずとも病院に、駆け込んで診てもらえたのではないか。ただ、優しく、看取ることは出来たのではないか。
「猫が、、あああ……」
車内は静かだった。
誰一人反応しなかった。
支援の為の大きなケース会議で他県に向かう車中で、
私がずれているのか世の中が割り切っているのか
人一人助けるのも大変なのに猫一匹など到底助けられない事が解っているから偽善と思われたのか。
死に際の猫の痛み恐怖切なさなど
気持ちを想うと
胸が破れそうで気が狂いそうになる
神さま、助けて、
世の中の、苦しんでる存在を全て、
救ってください。
嗚呼、私は何故に、人間なのだろうか。
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