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朝は少しだけ検査をして暇になった
なのでまた中庭に行くことにした、暑かったら部屋に戻ってくればいい話
昨日の温度は丁度よかった
ずっと外にいれる
ただ昨日の恥ずかしい行動が頭に思い浮かぶ
頭を振り、何とか忘れようとしたが頭から離れない
一瞬戻ろうかと思ったが、やることもないのですぐに足を中庭に向けた。
階段を下りていると突然肩を叩かれた。
「やぁ」
「あぁ、どうも」
声的に昨日の人だった。
「今日も行くの?」
「はい、やることないんで」
「じゃあ私も行っていい?」
「えっと別に大丈夫ですけど」
いつの間にか敬語からため口に変わっていた。
ただそこに不快感はなく、友達みたいで嬉しくもあった。
手すりを使いながらゆっくりと階段を下りていると、僕に歩くスピードを合わせている音がした。
「先に行っても大丈夫ですよ、僕大丈夫なんで」
「いや、私も暇だし、外に行ったらわかんないでしょ?」
まぁ確かにそうだった。
「そう・・・ですね」
ゆっくりと階段を降り、自動ドアを抜け外に出る
日差しが肌で感じられ、丁度いい気温だった。
「こっちベンチだよ」
不意に手首を引かれ、少し歩いたところで止まった。
「ここベンチだから、そのまま座っていいよ」
「あ、ありがとう」
座ったが、話す言葉がない
正直面白い話のネタもない
だいぶ遠くの飛行機が通り過ぎる音が嫌に大きく聞こえる
額には少し汗がにじんだ。
「名前聞いていい?」
「裕翔です」
「上は?」
「牡丹・・です」
「ボタン!すご!珍しいね!」
「ははっよく言われます」
どうしたんだろうか、こっちを見ている気配がした
「裕翔くんさ・・・・・笑顔下手だね」
人生で初めて言われた、いや今後言われることがあるのだろうか
笑顔が下手ってなんだ?
「どんな感じですか?」
「うーん言葉で表すのは難しいけど、引きつってるって言うのかな?、でも変!」
「あーそうなんですか・・」
今まで知らなかった自分が少し恥ずかしい
あの時もあの時も、自分は笑顔が引きつっていたのか
「あ、私は伊藤うら、海と空でうら!ちなみに16歳」
一才違いか結局敬語は外せないな。
「自分は15歳です」
「なんだ一歳違いだったんだ、敬語なんていらないよ、普通に喋ろう」
「はい」
「あっ!敬語使った!」
「はいって敬語なの?」
「う~ん時と場合かな」
「じゃあ今のは敬語じゃないですね」
「あっ今使った!」
そして思わず口を手で覆って閉まった
海空はそれを見て横でけらけら笑っていた
「裕翔は面白いね~友達いっぱいいそうだね、天然だし」
「いや、そんなことないよ」
何を感じたら友達いっぱいいそうなんて話が出てくるんだ?
「海空こそ、友達多そうだね、僕はそんなに話ができないよ」
「え~そうかな~」
「そういえば、海空ってなんでここにいるの?目も見えてそうだし健康そうだし」
「んー」
海空は少し困ったように唸っていた。
「あ、別に言いづらかったら言わなくて良いよ」
「別にそんなんじゃないよ、ただ親のお見舞いに来てるだけ」
「あ、そうなんだ」
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