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もう話すことがなくなってしまった
交友関係の少なさから、会話がかなり下手だということに今気づいた。
「裕翔はなんで病院にいるの?検査だけ?」
「いや、それもあるんだけど明日、目の手術をするんだ」
「へー!てことは見えるようになるって事?」
「うん、そうだね」
「それは・・・よかったね」
「なにか見たいものとかある?」
「うーん、何だろうなやっぱり一番に見たいのは母親と父親の顔かな」
「いい子じゃん」
「別に、ただ単に見たいものだよ」
「目が見えないってさ、どんな感じなの?完全に真っ暗なの?」
「そうだね、完全に真っ暗」
「目を閉じてもちょっとは明るいとか暗いとかもわかるけどそれもわからないの?」
「うん、わからないよ」
「そうなんだ、それは・・・嫌だな」
「海空は高校生でしょ?」
「そうだね」
「部活とかしてる?」
「んー中学まではしてたけど高校で辞めちゃった」
「中学生の時は何してたの?」
「水泳、泳ぐの好きだったんだ」
少し好きだったという言葉に違和感を覚えた、ただその違和感が何かわからないから言葉にはできなかった。
「プールの水も青いの?」
「んー透明かな」
「そーなんだ」
また話が途切れ、上を向く
太陽の暖かさが顔にかかり少し心地いい
「高校ってどんなところなんだろう」
「別に普通だよ、何にも変わりない」
「何か想像しちゃうんだよね、友達と高校帰りコンビニに行ってみたいな」
「でも今は厳しいからなぁー、学校帰りそんなことできるかな」
「できないの!?」
「できるのは田舎もすっごい田舎の高校ならできるかもね」
「なんだー、本聞いて少し楽しみにしてたんだ」
「高校は勉強するだけ、それだけだよ」
「そうかなぁ」
「裕翔は目が治って何がやりたい?」
「何かスポーツをやりたいな、青い空の下でさ、普通・・・・普通でいいんだよ」
そう、普通になりたかったんだ
「スポーツかぁ、でも中学の時スポーツやってなかったら無理じゃない?」
「そ・・そうなの?全然知らない・・・」
「確か、国が無駄な時間を若者に取らせないようにって、中学の時大会の上位者しか高校でスポーツはできないはずだよ」
「うーなんだそれー」
「裕翔のさ・・・普通って・・・・・・・・何?」
「普通かぁ、ご飯が食べれて友達と話して遊んでって感じかな」
「そっか、でもそれ、普通じゃないよ?」
え?どうしたんだろうか最初と比べて話し方が変わった気がする
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