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「え?」
「それは普通じゃなくて幸せなんだよ」
「ど、どうしたの?」
「いや、ただ・・・・・いや・・何でもない」
「う、うん」
少し声色が変わった気がする
「裕翔は普段ニュースとか見ないの?」
「うん、そうだね、本をタブレットで聞いてる」
「どんな本?」
「昔の本が多いかなぁ、50年前とかの本面白いんだぁ明日目が見えたら教えるね」
「いや、大丈夫だよ、私明日にはいないから」
「え!そうなんだ、親退院するの?」
「まぁそんなとこだね」
「仲良くなれたのに、残念」
また数分の静寂が現れた
時々やってくるこいつが本当に嫌いだ
ただ隣でがさがさやっているようだった。
「連絡先教えてあげるよ」
「え!本当!?」
「本当だよ」
「やった!」
「でも僕、字読めないや」
「大丈夫そのうちわかるでしょ」
「うん、そうだね!」
「はい」
そういって渡されたのは二つ折りされた紙だった
「ちゃんとポッケに入れときなよ」
「なくさないよ!」
そういって上着のポケットの中にしまい込んだ
「裕翔は今、幸せ?」
「え?そんなわけないよ、目が見えないわけだし」
「そうなんだ、なんか幸せそうに見えちゃった」
少しイラっと来てしまった
だけどここでいきなり怒るわけにもいかない
「なんで・・・そんなこと言うの?」
「ごめんね、ただ見えないほうが幸せってこともあるんだなって」
「見えたほうが幸せだよ絶対」
「そうだね、なら私は今幸せなんだ」
「そうだよ、幸せなんだよ!」
海空は深く息を吸い込んで吐き出した
そして何やら書き込んでるようだった
「私そろそろ、行くね」
「うん」
「これ最後に」
そう言われてまた一枚の紙を手渡された
「あ、うん」
「じゃ」
「うん」
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