〈5月11日〉登校デートが始まる

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〈5月11日〉登校デートが始まる

 #今朝から七海と一緒だと思い、少し早めに家を出たのに、七海はすでに橋のたもとで待っていた。女の子と一緒に歩くのが照れ臭くて、当たり障りのない話をしながら学校に行った。放課後、七海と連れ立って、アンケートの提出に保健室へ行った。片平先生から最強のペアだとほめられ、二人でハイタッチをして喜んだ。  アンケートの質問を相談している時、七海がセックスを口にしたのには驚いた。あの時は彼女の赤くなった顔が可愛らしく、もう少し反応を見たくて意地悪な質問をした。それなのに、真剣な顔をして「立松君は、してみたいの?」と返されて、俺の方がドキドキした。七海はどうなのだろうか、キスとかセックスに興味がなさそうだけど、あの反応には期待できるかもしれない。#  千宙が提案した「キス以上の事」についての質問は、中学生には刺激が強すぎるという事で、先生に却下された。七海は当然だという顔をしていたが、千宙は不満そうだった。 ☆七海☆立松君は不満そうにしていたけど、そんなにセックスに興味があるのだろうか。私はキスでさえ怖いのに、彼はしたことがあるのか、それとも願望だけなのか、男子が何を考えているのかよく分からない。それにしても、キスだとかチュウだとかいう単語はアイドルの歌によく出てくるが、みんなしていることなのだろうか。どんな味、どんな感じなのか興味があるが、初めては千宙君としたい。☆☆☆☆☆  二人が登校デートを始めてから、1カ月が経っていた。登校の15分間に話す内容は、学校や部活、友だちの事、音楽やゲーム、前の晩に見たドラマの話などであった。中間テストの成績が話題になった時、一緒に勉強する約束をした。 また、部活の話で会話が弾み、 「昨日、梅枝の走ってる所を見たよ!中距離なんだね。」という千宙に、 「えー、恥ずかしいな!見てたの分からなかった!わたしもサッカー部を時々見てるんだ。今度の大会はいつ?応援に行ってもいい?」と七海は積極的だった。 ☆七海☆千宙君との約束が、少しずつ増えていくのがうれしい。一緒に勉強するのは良いけど、どこでするのかが問題だ。図書館、私の家、彼の家、アンケートの内容に照らし合わせると、私たちは交際していることになる。友だちの初絵たち3人にも、一緒に登校しているのは付き合っていることだと言われ、一緒に話していて楽しいのは好きだからだと言われた。☆☆☆☆☆  昼休みに仲の良い4人グループで集まっていた時、七海は親友の紅林(くればやし)初絵(はつえ)たちの追及に、今度一緒に勉強する事、サッカーの応援に行く事を打ち明けた。そして、皆で応援に行く事になり、3人は盛り上がっていた。
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