〈6月22日〉テスト勉強を一緒にする

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〈6月22日〉テスト勉強を一緒にする

 #アンケートの集計を、放課後の保健委員会で行った。保健委員の連中は「キス」に関する回答で盛り上がっていたが、キスを経験した男女の数に俺も驚かされた。中2の男子で11.9%、女子は18.4%だった。交際経験のない俺には縁のない事だが、「キスしたいか」という質問には「思う」と答えた。アンケートでは男子の57.1%、女子の56.3%がキスをしたいと答えていた。 七海がどう回答したのか気になって帰り道で訊くと、「交際した事がある」と答えたらしい。それも、現在進行中だと言って、俺に同意を求めてきた。「キスしたいか」に七海がどう答えたかは、聞き出せなかった。七海といつかキスするのだろうか。しかし、お互いがその気にならない内は難しく、七海の唇はハードルが高い。#  保健委員による集計結果を、二人は養護の片平先生の所に持参した。先生は結果に驚きもせず、当然のような顔をして「興味本位で終わらせないようにしないといけないね」と言った。そして、二人に対して「あなたたちはどうなの?」と訊いてきて、二人はあわてて否定していた。 ☆七海☆養護の先生には、私たちの付き合いが知れていて、さすがだと思った。帰り道で立松君から、アンケートにどう答えたのか訊かれた。「私たちは交際しているんだよね」と訊き返すと、「ああ、いいんじゃないかな。」とはっきりしなかった。今まで女の子と交際した事があるのか、キスした経験があるのかを訊きたかったが、うやむやにされてしまった。☆☆☆☆☆  期末テストの前々日の土曜日、七海は千宙の家に向かった。中学生らしい前プリントのTシャツと白のショートパンツで、初めての家を訪れた。家には高2の姉萌香が出迎え、エアコンのあるリビングでしばらく勉強をした。お互いを意識しながら2時間が過ぎていて、休憩という事で2階の彼の部屋に二人で行った。 「男の子の部屋は、弟がいるから初めてじゃないけど、何か緊張するな。」 「どうして?緊張する理由がよく分からない。何か期待してるの?」 ☆七海☆立松君の部屋で、なぜか緊張して心臓の鼓動が早くなった。緊張の理由は、彼の言った通り「期待していた」からだが、そんな事を女の子の口から言える訳がない。彼だって分かっているはずなのに、意地悪な態度に仕返しのつもりで、「ベッドの下にエッチな本はないの?」などと訊いてしまった。さらに「そういう方面に興味はないの?」などと言ってしまい、逆に「梅枝はどうなの?」と返されて困った。あの時、彼は「今すぐにどうという訳ではないから」と言っていたが、いずれはキスしたいという気持ちがあるのかもしれないが、私はまだ分からない。☆☆☆☆☆  夏休みになるまでの間、二人は毎朝の登校デートを続けた。夏休みに入ってすぐ、七海は初絵たち4人で、千宙のサッカーの試合を市営グランドに観に行った。七海が千宙の姿を目で追うように、他の3人も男子を物色していたが、特に初絵は隣のクラスの黒岩(くろいわ)聖太(せいた)が気になっているようだった。
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