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今日も私は自宅でスマホ片手に、通常営業。
午後3時。
次の客は、1ヶ月前から予約をしてくれていた常連だ。
トゥルルルル♪…ブチっ!
私「もしもし。こちら占いの蝶占い師の、アゲハでございます。ご予約頂きました、たまき様のお電話でお間違いありませんか?」
たまき「…アゲハ先生!
うちのが浮気女と別れたみたいで、毎日家に帰って来るようになったんです。これも、アゲハ先生に占ってもらったお陰です!!!…本当に嬉しくて…ありがとう…ございます…」
感謝の言葉を述べるたまきの声は、涙のせいか震えている。
私「たまきさんが、努力して行動したからです。私は占いで少し手助けをさせてもらっただけ。全てはあなたの努力です。本当に良かった。」
占いで私を頼ってくるお客さんは皆、話を聴いて欲しいだけなのだ。
辛い、悲しい、嬉しい様々な感情を誰かと共有したい…言うなれば、大人だって寂しがり。
そんな時子どもの頃は、泣き叫べば誰かが駆けつけて、優しく抱きしめてくれた。
だけど、大人になった今では、泣けない。
だから私は占いを通し、そんな寂しがりを抱きしめる役割をしているのだ。
そんな言い訳をしながら、私は毎日の占いを続けていた。
本当は占いなんか1度もやったことない。
全くのインチキ。
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