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食後の珈琲を飲みながら、史郎は買って貰った車の性能の良さを語り
「走りは良いし、乗り心地も良いんだ、どこかにドライブに行こうよ
どこが良い?」と、聞く。
「そうね~どこが良いかな~」百合香には、ドライブの経験はあまり無かった
「海?でも、今は人が多いだろうな~やっぱり山かな」「山?」
「うん、高原の涼しい所とか」「良いわね」
「よし、ちょっと待っててね」史郎はスマホで、あちこち調べていたが
「あ、ここが良いかも」と、その場所を見せる。
「美しい夕焼けと、ステーキとチーズが美味しい高原?」
「うん、地元の野菜を使った料理も、お薦めだって、ここにしようよ」
「良いわね」あまり行く元気は無かったが、そう返事をした。
「よ~し決まりだ、あ、その前に、まず叔母ちゃんの部屋を
住めるようにしないとな~」と、史郎はメモ用紙を持って来た。
部屋には、ベットやソファー、テレビやエアコン等の、家電も付いていたが
その他の、細々した物を、揃えないといけない。
史郎はメモ用紙に、買う物を書き出して行く。
それを一つ一つ読み上げ「もう、忘れている物は無い?」と、聞いた。
「忘れていたら、また買いに行くわ」
「そうだね、あそこ、どこへ行くにも交通の便が良いからね」
そう言った史郎は、風呂に湯を張り「叔母ちゃん、入って」と、言ったが
「私は、史郎ちゃんの後で、ゆっくり入るから」と、史郎を先に入れる。
史郎が出た後で、風呂に入った百合香は、その日の嫌な事を流してしまいたい
と言う、気持ちで、泡を一杯立てて、ごしごし体を洗い
首まで湯につかって、体を温める。
その温かさは、百合香の為に一生懸命になっている、史郎の優しさの様だった
そんな史郎の為にも、早く前を向いて、歩きださなくっちゃ
百合香は、そう決心した。
風呂から上がり、ドライヤーを探していると
「叔母ちゃん、こっち」と、史郎が手招きする。
ドライヤーを手に持ち、オットマンに百合香を座らせて
髪を乾かしてやると言う。
「良いわよ、自分でやるから」
「叔母ちゃん、疲れてるだろ、今日だけ俺にやらせて」
「そう?じゃ、お願い」史郎は、中学生の時から、時々こうして
百合香の髪を乾かしてくれていた「今、俺が出来るのは、これ位だから」
と、言いながら、それは高校生になっても続いていた。
「久しぶりだな~大学生活は忙しくて、出来なかったけど
これからは、余裕が出来るから、今迄の分を取り戻せるよ」
そう言って乾かし、綺麗にブラッシングすると
「サラサラで、綺麗だな~」と、百合香の髪を撫でる。
慶次郎も、百合香を抱く時「綺麗な髪だね~」と、撫でていた。
そう思った途端に、百合香の目から、涙が零れる。
「叔母ちゃん、泣かないで」
史郎は、慌てて百合香の涙を拭ったが、涙は、次々と流れる。
すると史郎は、百合香を抱きしめ、いきなりキスをした。
「えっ」驚く百合香を抱き上げると
史郎は、自分のベットに百合香を運び、横たえた。
「し、史郎ちゃん」そのまま、百合香の傍に来て、更に強く抱きしめる。
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