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百合香は、もう抵抗せず、優しく史郎をリードしたので
史郎は、大きな喜びを爆発させ、夢の様な幸せの中で、百合香を抱きしめた。
昨日は、百合香を自分の物に出来たと喜んだのに
百合香の気持ちは、史郎を素通りした。
今度こそは、本当に俺のものだ、もう絶対離さない。
そう思いながらも心配で、抱きしめたままで聞く。
「これからは、ずっと一緒だよね」「ええ」「俺だけのものだよね」
「そうよ」百合香はそう言うと、チュッと史郎の頬にキスをした。
『やった~っ、絶対絶対本当だ』史郎は、心の中で叫び、両腕に力を込めた。
長い長い間、願い続けていた史郎の思いは、ついに叶えられたのだ。
それは、史郎がまだ一年生の時だった。
何が有ったのか忘れたが、母と一緒に父の病院へ来ていた。
その時、母が居ない所で、父に酷く叱られた。
叱られる理由が分からなくて、悲しくて堪らない史郎は
病院の中庭の、植え込みの陰に座り込んで、涙を零していた。
すると、植え込みの向こうで、父と誰かの声がした。
「あんなに怒らなくても」その声は、女の声だった。
「良いんだ、憎らしい史郎の顔を見るだけで腹が立つ」
「奥様に、そっくりですからね~」女は、くくっと笑った。
「それより、00子の誕生日だったな」「ええ」
「もう、プレゼントは買って有る、喜ぶかな~」「きっと、喜びますよ」
いったい、誰と話しているのかと、植木の隙間から覗いたら
父は、知らない女とキスをしていた。
史郎は、誕生日に、父からプレゼントを貰った事は、一度も無い。
なのに、00子と言う知らない子には、プレゼントをやるんだ。
ショックだった、それより、もっとショックだったのは
父が、自分の事を憎んでいると言う事だった。
「だから、いつも顔を見ると怒るんだ」
言い知れぬ悲しみと、寂しさが襲って来て、母の元へ急ぐ。
しかし、その母は、浮き浮きした顔をしていて
史郎の悲しみには、気付いてくれなかった。
そして「史郎ちゃん、お母さんはちょっとお出かけするから
百合香叔母ちゃんの所で、お留守番しててね」そう言うと
百合香の家に連れて行き「じゃ、お願いします」と言って、どこかへ行った
史郎は、泣きたかったが、拳を握りしめて耐えていた。
百合香は、そんな史郎を見て「史郎ちゃん、今日は、心が痛そうね」
そう言うと、自分の膝に座らせて、抱きしめると
「痛いの痛いの、飛んで行け~」と言って、背中を擦った。
史郎は、百合香の胸に顔を埋めて、大好きな甘い匂いを胸いっぱいに吸いこむ
すると、悲しくて泣きたかった気持ちは、いつの間にか消えて行くのだった。
百合香と一緒にご飯を食べ、お風呂に入り、添い寝をして寝かせてくれる時は
おっぱいを、ちゅくちゅく吸いながら眠る。
母は、大きくなったからと、おっぱいどころか、一緒に寝ても呉れないけど
叔母ちゃんは、何度もお願いしたら「しょうがない子ね~」と、許してくれた
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