magnets

7/21
前へ
/21ページ
次へ
個人登録票、アレルギー検査表…と、提出するものを広げて確かめていると、机の上が一杯になり、1枚の書類を下に落としてしまった。急いで取ろうとすると、左隣に座っていた男子が拾ってくれた。 「あ、ごめん。ありがとう。」 私がそういって手を出すと、彼は鼻で笑いながら書類を 「どーぞ。年上さん。」 といって手渡してきた。私は暫しの間、理解が追い付かずに混乱していた。 年上?同い年じゃないの?私クラス間違えた?いや、そんなわけない。舞生たちもいるし…と考えていると、再びその男子が口を開き、 「大丈夫?8月生まれのおばあちゃん?」 と言ってきた。こいつは私の書類の生年月日の欄を見てそういっているんだと、気がついた。その瞬間に、私が抱いた感情はただひとつ。ムカついた。 「は?何あんた。同い年でしょうが私ら!」 そう私がキレると、 「大丈夫?更年期?これだから年寄りはやだよ。ちなみに俺、3月生まれ。お前より7ヶ月ばかり遅いんで。」 と、はじめは少しばかり大袈裟な身ぶりをしながら、最後は誇るような顔をしながらそう言った。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加