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沈黙は重かった。
コンコン
レッスン室の扉が叩かれる音がした。
「今、ちょっといいかな?」
楓さんの声だった。
「はい、なんでしょうか」
私は、汗をぬぐった。
「優雨の事、少しわかったんだけどね。
あれ以来、仕事もしてないらしい。」
しばらく沈黙が続いた。
私は、うつ向いた。
「仕事していないならどうやって生きているんですか?」
「わからない。だけど、優雨は生きている。」
だから、、なんですか?
生きているから良いとかって言うつもりですか?
そこから会話は続かなかった。
長く、重い沈黙は破れなかった。
いつの間にか楓さんはいなくなっていて、
私だけが取り残されていた。
滴り床に落ちる汗をみていた。
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