辺境の平民ライフ(一応HHL)

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「ねぇ、ゼン兄ちゃん。一緒に遊ぼ」 色々考え込んでたら突然部屋の扉が開いた。 うぉ゛っ。びっくりした。 開いた扉から亜麻色の柔らかそうな髪をしている頭をひょっこり出す愛らしい仕草。 走ってきたからかモチモチな白い肌をしている顔を真っ赤にさせてる。 これがどーなって、あーなったんだと額に手をやりたい気分になる。 あー、蜂蜜色の目をキラキラさせている。 可愛すぎて天使。 まぁ、今は天使でも前はクズ山だからね。 そう…産まれたての純粋無垢なクズ山。 この世界ではヘイジーという名。 不思議なもので、クズ山はどの世界にいてもヘイジって名前に似てる名前らしい。 どんな原理なんだ。 と言っても誰に聞いても答えが返ってこない。 不毛だからやめた。 にしても、こんな純粋培養体になるなんてびっくりした。 前世の記憶ないのかな。 あの時色々あり過ぎてクズ山関連聞くの忘れてしまった。 死んだのか……それとも……… まぁ、あの後ブスっと刺されてもおかしくないから敢えてスルーしよう。 スルースキルは必須だよね。 クロノス様の能力なのかは今となっては聞けないけど、あの直後すぐこちらの世界にきた。 あらゆるものをスキップして10歳からスタートした私。 今は僕と一人称では名乗ろう。 僕は10歳、元クズ山は8歳……。2歳差。 近所の幼馴染みというやつだ。 まぁ、他にも数人歳の近い子供もいるけど。 その中でやたらヘイジーは僕の後ろを追っかけてくる。 他の子の方がお兄ちゃんぽいのになぁ… 女の子達は皆ヘイジー大好きで毎回見掛けると追いかけてくる。 「ゼン!!いたいた。探したよ」 黒髪でシルバーグレーの瞳の男の子。 どっかで見たことあるような日本人顔のような気がするけどこの子も幼馴染みだ。 ヘイジーと同じ歳なんだけどやけに大人びていて可愛いよりカッコイイ。 名前はイーサン。 しっかり者のもう1人の幼馴染み。 女の子だったらヘイジーよりイーサン選ぶんじゃね。 どうしてヘイジーが人気なのか分からん。 解せぬ。 「ヘイジーがいなかったから絶対ゼンとこにいると思ってた。文字書きの練習中で抜け出したから探してたんだよ」 笑いながら話す。 私より面倒見いいの? もしやオカン属性かっ。 ヘイジーの面倒、丸投げして良い? 「イーサンと一緒に練習してきなよ。僕はもう覚えてるからやらなくていいんだよ」 解釈スキルでズルしてるけどね。 とは誰にも言わない。 頭を撫でながらヘイジーに話し掛ける。 「だって、イーサンすぐ出来ちゃうから置いてかれるの嫌っ。ゼン兄ちゃん教えて。僕ゼン兄ちゃんがいいっ」 ぎゅっと腕にしがみついてくる姿にはきゅーんとなるけど、僕はスパルタなのだ。 甘やかしたらクズ山の二の舞になる。 快楽主義、いやあれは快楽堕ちだな… あんな風にはさせない。 神様から保護者として任されたんだ。
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