辺境の平民ライフ(一応HHL)

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「僕が教えるのはいいけど、ホントにそれでいいの?」 にっこりと笑ってみる。 正直言って、多分今の笑いは子供には無理。 引くような事になればいいと思いながら口角を上げた。 「イーサンはから怒らないけど、僕は厳しいよ。ヘイジーの為に厳しくならないとならないんだ。分かる?」 ゆっくりと説明する。 「僕が出来るのになんて変じゃん。イーサンがじゃない。んだから。練習すれば誰でも出来ることなんだよ。速さなんか関係ない。出来るようになれば皆同じ事なんだよ」 この街は恵まれている。 時代背景からして本来上位の身分でないと文字は学べない。 しかし他より若干裕福な家が多い為識字率はソコソコ高いのだ。 子供同士で教え合うのも可能だ。 この街は貧富関係なしに子供同士仲が良い。 「ヘイジー、どうする?文字習わないと僕はイーサンと一緒に学んでいくと思うけど、決めるのはヘイジーだよ。学ぶの?それともサボって僕達とはもうのかな」 学ぶ姿勢をどうにかしないと何度も繰り返す。 自分で決めないとダメなんだ。 やらされてるという意識ほど邪魔なものはない。 必要か不要か、できるできない以上に大切な選択。 ヘイジーは何を選ぶかな…… 「………っ、ゼン兄ちゃん、イーサン……文字覚えたいから教えて……」 ムクれながら答えるヘイジー。 かわいい。案外素直なんだな。 僕は思わず亜麻色の髪をぐしゃぐしゃに撫で回した。 「ヘイジーはいい子だね。時間掛かってもいいから覚えよう。僕もイーサンもいるからね」 撫で回す僕の手が気持ちいいからかご満悦なヘイジー。 うん、このヘイジーは可愛いかも。 亜麻色の髪は思ったよりふわふわで、触り心地めちゃくちゃ良い。 自分の髪は硬めだからものすごく羨ましい。 と、言ってもなりたいとは思わないけどね。 容姿には拘らないって自分で言ったのに後から文句言うのはどうかと思うし。 加護やスキル以外は凡庸。だからどうしたって感じだ。 解釈スキルのみは有用してるけどね。 あくまで緊急性のあるもののみ。 この街では言語は8歳でマスターする。 10歳で出来ないのは逆に悪目立ちする。 言語だけは解釈スキル使って、他は普通に過ごした。 にしてもイーサンって万能感ぱねぇ。 ちょっと『アイツ』を思い出す。 かなり前だから顔忘れたけど、クズ山の幼馴染みのヤロウみたいだなって思った。 バイト中アイツが客としてきた時にバイト仲間が騒いでたのでチラリ覗いた覚えがある。 「まさか………ね」
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