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ハーヴェイ様が僕の方をまだじっと見ている。
綺麗な碧眼が仄暗い光を発している。
はっきり言ってめちゃ怖いっ。
ガクブルで背中に汗かいてるよっ。
でもまだ顔に出しちゃイケナイ。
僕のスローライフ、ヘイジー浄化活動がまだはじまったばかりだ。
初期で折れては先々思いやられるってもんだ。
ここは全力回避ですよ!!
「マーティ兄ちゃん、花屋さんってこの通りの先の十字路右の所ですよね。僕、店見てみたいから行ってきます。マーティ兄ちゃんの実家の花屋さん、ぐふふ」
僕楽しみだなー、なんて言いながらその場の2人から離れた。
子供らしく自然に、次の興味の対象に目を向けて。
行き当たりばったりの作戦でも通用したようだ。
「はー、何とかなった。やっぱり貴族みたいな高貴な人の前に出るのはやめよう。目立たないようにしよっと」
小走りしながら花屋さんを目指した。
十字路右に曲がると生活品売り場がそこそこ揃った店屋が並んでいる。
表通りは衣服や食べ処屋、治療院等がならんでいる。
表通りは家賃が少し高い。貴族の顧客が多いだけ懐が膨らむからなのか、目立つ店が並んでいるんだけど…。
生活品の売り場はあまり貴族の顧客がないから表通りの店より質素だ。
僕としては質素の方が好きなんだけどね。
前世で言うなら表現的にはシンプルってやつね。
「あった。花屋さん」
花屋というか、花だけでなく観葉植物も置いてる感じの緑のお店。
なるほど。
色とりどりな花屋さんなら貴族の顧客あるだろうに、ないとなれば特殊だろう。
見るからにハーブ系も置いてある。
薬草系もありそうだ。
「いらっしゃい。小さなお客さん」
にっこり挨拶してくれた女の人。
もしかしてマーティ兄ちゃんの妹さんかな。
全然似てない。もう血の繋がりあるの疑問に思うほど似てない。
マーティ兄ちゃんは人相悪い三白眼。黒髪ツンツン頭で額に傷ある漢らしい風貌なのに、妹さんはふわふわのゆるゆる系。綿菓子のような亜麻色の髪にアーモンド型でアーモンド色の瞳。ちょっと天然さんのような癒し系。
どこ見たら兄妹と思えるんだ。
わかった!!兄ちゃん、きっと教会の前で捨てられてたんだ!!(めっちゃ失礼)
「こんにちは。マーティ兄ちゃんに教えて貰って来ました。実家、花屋さんと聞いて見に来たんです 」
とりあえず挨拶は基本だよね。
僕はぺこりとお辞儀した。
「あら、兄から聞いたの。兄怖くなかったですか」
心配そうに妹さんから聞かれたけど、僕は首を横に振った。
「色々親切にお話して下さいましたよ。ありがたかったです。マーティ兄ちゃんの実家が花屋って想像つかなかったので見に来ました」
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