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スージィ姉さんが微笑んでる。
柔らかい雰囲気が癒される。
自分が男ならほっとかないよ!
あ、今自分男でした。
なんて思考を空回りしている。
ぼーっとしているとスージィさんがある提案をしてきた。
「あのね、くすい分おシゴトしないかな」
ニコニコと邪気ない笑顔で言ってきた。
バイトってコトですよね。
どんな事するのかな。
僕は興味津々にスージィ姉さんの顔を見上げた。
「売れ残った花をくすいにするの。難しい事じゃないわ。店の端に乾燥させた花があるから選んで袋に入れるだけよ」
スージィ姉さんはくすいの作り方を簡単に教えてくれた。
あっちのポプリみたいに途中までは過程は同じなんだけど、ポプリみたいにエッセンシャルオイル入れて完成ではなくてとある樹液を入れて造るらしい。
とある樹液は企業(?)秘密らしくナイショで教えられないんだって。
他の花屋さんもくすい作ってるけど、その樹液は店で様々。
樹液がその店のウリになってるらしくてどの店も店主以外知らないみたい。
僕はその樹液は触らない手前の工程の花のブレンドらしい。
面白いなぁって思った。
「僕、やってみたいです」
花を選んで袋詰めるんだよね。
難しくはないから楽しそう。
男の子なんだけど、元女ですから。
名前忘れちったけど、何となくは覚えてるし有名所は分かると思う。
「それじゃ、袋は今日15枚。15個お願いね。終わったら好きなくすい選んでもらうからよろしくお願いします」
そう言ってスージィ姉さんは僕の手に可愛い袋を渡してくれた。
店内の端にあるコーナー。
それぞれ別々に置かれている乾燥した花。
店自体大きくはなく、さほど沢山置いてあるわけではないから売れ残りもそれ程多くはない。
スージィ姉さんも毎日絶妙なバランスで買い入れしているんだろう。かなりセンスがあるのかな。貴族と取引きしていないのにもやり繰りが上手い。
僕は端まで行き袋の中にそれぞれの花を入れていく。
知らない花が沢山あったから匂いを感じながらの作業をする。
15枚しかないが、15枚もあるに変わる。
匂い嗅ぎすぎて感覚がなくなってきた……
「すみません。鼻がおかしくなったから少し外の空気吸ってきます」
僕は慌てて外に出ようとスージィ姉さんに声掛けるとコーヒーの香りがした。
「ベルゼン君には早いかな…コーフィなんだけど一応甘くしてミルクも入ってる。飲みやすくしたの。休憩しましょう」
確かに僕の年齢からしたらコーヒーは早い。独特な風味と香り。
でも前世では紅茶よりコーヒーが大好きだった。
この世界では名前が似てるから分かりやすい。
この香りを嗅いだら花のごちゃごちゃした香りが一気に感じなくなった。
コーフィは素晴らしいっ。
「ありがとうございます」
僕はスージィ姉さんのいる場所まで歩み寄った。
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